鬱と糖尿と仕事のトリレンマ(教育入院その8)

プロフェッショナル達の働き方のこと(教育入院その7)」の続きです。療養記の目次はこちらから。

「食事療法が第1,運動療法が第2,それらを補助する形で服薬療法がある。」「糖尿病の三大合併症には糖尿病神経障害,糖尿病網膜症,糖尿病腎症がある。」などのことを習い直していくうちに,DVD教材も先生も教えてくれない問題が自分にはあるということを強く自覚するようになった。

仕事をすればストレスが溜まり,鬱が強くなったり,食生活が乱れたりして糖尿が酷くなったりする。鬱が強くなることで食生活が乱れ糖尿が悪くなる,糖尿を治そうとすると鬱が邪魔をする。うつ病の方は長年付き合っていく覚悟ができていたが,ここに来て,もう一つ,しかも非常にやっかいな形で問題が増えたことを自覚した。

鬱と糖尿と仕事がトリレンマになっている。とりあえず今は仕事は休めているので,優先順位を落とせているとして,うつ病と糖尿病がジレンマにある。これをどうにかしないといけない。

トレードオフに対処する方法は,短期的には優先順位をつけて対処し,長期的には良循環を回すことを心がけることだ。このことは昔,ヤマト運輸の中興の祖,小倉昌男の本を読んで学んだ。彼は,「安全第一」の標語だけでは部下が安全と利益のトレードオフが生じた時に迷ってしまうので,「安全第一,利益第二」と優先順位を示すことがトレードオフを解消する方法だということを若い頃に学んだという。それ以降,「サービス第一,利益第二」など部下が迷わないように優先順位をつけた標語でヤマト運輸を導いたとされている。長期的には,サービスの向上が利益の増大を生み,利益が増えるからサービス水準をさらに向上させることができるという良循環に至ることができる。しかし,短期的にはトレードオフの問題が生じるので,上司の仕事は部下の直面するトレードオフを取り除いてやることだ,そんな話だった。僕は僕で,自分の主治医になったつもりで,ひとまず当座の治療の優先順位を決めないと,鬱も糖尿もどちらも中途半端になってしまう可能性がある。

優先順位をつけないといけないということを思い出したあとは簡単だった。今は糖尿病を優先する。鬱は十数年慢性化していて治す手立てがよくわからないけれども,糖尿病はまだ3年かそこらであること。糖尿病はこの先さらに合併症を連れてくる可能性が非常に高いこと。糖尿病は検査数値で改善の度合いがフィードバックされること。今は糖尿病の教育入院ということで保険診療という社会的リソースを使わせてもらっていること。いろいろな条件を鑑みるに,糖尿病の方が取り組みやすい課題であることは明白だろう。

鬱には対処療法している間に,糖尿病の改善に取り組み,退院後も肥満の解消に取り組む。肥満の解消が糖尿病と鬱に対して何らかの良循環をもたらすまで鬱の方はなんとか我慢する。このような手立てでこのジレンマ・トリレンマに挑むことにした。

差額ベッド代を支払うことについても,とりあえず鬱の方にはなんとかやり過ごしてもらって,自分の労力は糖尿病の方に注ぎたいということで自己正当化することにした。

続き:退院日が決まってから退院に至るまで(教育入院その9)

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